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イベント

第12回 暗号及び情報セキュリティと数学の相関ワークショップ
(CRISMATH 2020)

(最終更新:2020年12月17日)
開催日 2020年12月22日(火)
開催場所 オンライン開催(Zoomを使用:事前登録制)
参加費 無料
参加登録(事前登録制) こちらの参加登録フォームよりご登録ください。

開催趣旨

暗号及び情報セキュリティと数学の相関ワークショップ  近年、暗号をはじめとする情報セキュリティ分野においては、従来よりも専門性の高い数学の知見に基づく様々な研究が進められています。一方で、数学分野においては、これまで以上に周辺分野との研究連携を推進する機運が高まっています。
 本研究集会では、これら二つの分野の研究者・学生の方々が研究的交流を行う場を提供し、両分野にわたる研究連携を推進することを目的として、両分野に関連するいくつかの研究トピックの紹介を行います。

プログラム(講演者敬称略)

12:40 開場
13:00-14:00 工藤 桃成(東京大学)
「暗号応用に向けた代数曲線の明示的構成と関連する算術」
14:20-15:20 上野 嶺(東北大学 電気通信研究所/JST さきがけ)
「物理複製困難関数が実現する情報セキュリティとその方法」
15:40-16:40 鹿野 豊(慶應義塾大学量子コンピューティングセンター/JST さきがけ/チャップマン大学量子科学研究所)
「量子乱数生成で探る量子コンピュータ」
17:00-18:00 大野 博道(信州大学)
「特別なPOVMとその応用例」
18:00 閉会

講演概要(講演順、敬称略)

  • 工藤 桃成(東京大学)
    「暗号応用に向けた代数曲線の明示的構成と関連する算術」
     正標数の体上の代数曲線のうち超特異曲線,超特別曲線,最大曲線といった曲線クラスは,同種写像暗号や代数幾何符号におけるパラメータとしての利用が期待されている.種数と標数が与えられたときに,これらの曲線の存在・非存在(および,存在する場合は定義体)を決定することは基本的な問題であり,種数3以下の場合には主に整数論的な手法によって多くの先行結果が得られている. 本講演では,種数4以上の場合における超特別曲線および最大曲線の明示的な構成方法を紹介する.特に,種数4, 5のとき,無限個の素数に対してこれらの曲線が存在することを構成的に示す.また,時間があれば,これらの曲線(あるいは一般の代数曲線)にまつわる計算問題をいくつか取り上げ,講演者による解法アルゴリズムと計算結果や,同種写像暗号との関連性について触れる.
  • 上野 嶺(東北大学 電気通信研究所/JST さきがけ)
    「物理複製困難関数が実現する情報セキュリティとその方法」
     ハードウェアに固有の値を生成する物理複製困難関数 (PUF: Physically Unclonable Function) は安全な主体認証や暗号鍵ストレージ,そしてハードウェアroot-of-trustを実現する技術として注目・利用されている.本講演では,PUFの構成法や性質,およびそれらがどのように利用されているかについて概説する.また、PUFの主たる応用の一つである暗号鍵ストレージの実現方法の最先端について解説する.
  • 鹿野 豊(慶應義塾大学量子コンピューティングセンター/JSTさきがけ/チャップマン大学量子科学研究所)
    「量子乱数生成で探る量子コンピュータ」
     ほぼ全ての暗号アルゴリズムにおいて「真性乱数」が存在するものとして理論的な解析が進められている。しかし、「真性乱数」をどのように定義をし、どのように実現するかについては未だに分かっていない。更には、それをどのように検証すれば良いかということに関しては仮説検定に基づいた解析がなされているが、未だに問題点が多いことが指摘されている。 「真性乱数」の一つの候補として、物理法則(量子力学)が正しいということに基づいた量子乱数生成機というものが理論的には存在する。これを実現することにおいても、量子力学的な状態を極限的に制御しなければならない(これは、量子コンピュータの技術的要求と同じである)。そこで、量子乱数生成アルゴリズムを現状使える量子コンピュータに適用することで、量子コンピュータの状態を知る手掛かりが得られるかもしれないという着想を得た。本講演では、量子乱数生成機の歴史を概略し、量子コンピュータの状態を探るための量子乱数生成アルゴリズムに関する我々の研究結果を紹介する。
  • 大野 博道(信州大学)
    「特別なPOVMとその応用例」
     量子情報において,量子を測定する際に用いるのがPOVM(positive operator valued measure)である.数学的には,和が単位行列となる半正定値行列の集合がPOVMであるが,このPOVMの中で特に良い性質をもつものとして,MUB(mutually unbiased bases)と,SIC-POVM(symmetric informationally complete POVM)が知られている.本講演では,この2つのPOVMの定義や性質,存在・非存在について解説し,その応用例を紹介する.

主催・共催等

主催

共催

世話人(五十音順)

  • 阿部 拓郎(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所)
  • 鍛冶 静雄(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所)
  • 栗原 大武(北九州工業高等専門学校)
  • 縫田 光司(東京大学)
  • 沼田 泰英(信州大学)
  • 前野 俊昭(名城大学)

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