第10回 暗号及び情報セキュリティと数学の相関ワークショップ
(CRISMATH 2018)
(最終更新:2018年11月30日)
本研究集会では、これら二つの分野の研究者・学生の方々が研究的交流を行う場を提供し、両分野にわたる研究連携を推進することを目的として、両分野に関連するいくつかの研究トピックの紹介を行います。
開催日 | 2018年12月28日(金) |
---|---|
開催場所 | 東京大学 本郷キャンパス 工学部6号館 3階 セミナー室AD (東京メトロ南北線「東大前」駅 ほか:交通アクセス) |
参加費 | 無料 (事前の参加申し込みは不要です) |
開催趣旨
近年、暗号をはじめとする情報セキュリティ分野においては、従来よりも専門性の高い数学の知見に基づく様々な研究が進められています。一方で、数学分野においては、これまで以上に周辺分野との研究連携を推進する機運が高まっています。本研究集会では、これら二つの分野の研究者・学生の方々が研究的交流を行う場を提供し、両分野にわたる研究連携を推進することを目的として、両分野に関連するいくつかの研究トピックの紹介を行います。
プログラム(講演者敬称略)
12:00 | 開場 |
---|---|
12:25 | 開会 |
12:30-13:30 | 玉置 卓(京都大学) 「精微な計算複雑性と暗号理論」 |
14:00-15:00 | 池松 泰彦(東京大学) 「HFERP, a New Multivariate Encryption Scheme」 |
15:30-16:30 | 大畑 幸矢(産業技術総合研究所) 「機械学習とセキュリティ」 |
16:30 | 閉会 |
講演概要(講演順、敬称略)
- 玉置 卓(京都大学)
「精微な計算複雑性と暗号理論」
計算問題を容易なものと困難なものに分類することは計算複雑性理論の主要な課題である。最も標準的な設定は「P≠NPを仮定し、多項式時間で解ける問題を容易、NP困難な問題を困難と分類する」というものである。この設定はある意味で「粗い」分類を行っており、例えば線形時間で解けるか二次時間は必要か、といった「細かい」差は考慮していない。近年急速に発展しているFine-Grained Complexity (精微な計算複雑性) 理論は、そのような細かい分類を可能にするものである。本講演では、精微な計算複雑性理論において暗号理論に関連する話題 (最短格子問題、有限体上の多変数連立代数方程式系、平均時困難性など) を紹介する。 - 池松 泰彦(東京大学)
「HFERP, a New Multivariate Encryption Scheme」
多変数ニ次多項式を公開鍵とする多変数多項式暗号(MPKC)は、量子コンピュータに耐性のある暗号と考えられ、研究開発が進められている。現在までにRainbow, Guiなどの安全で効率的な署名方式が提案されているが、一方で、暗号方式の構成は難航している。今回我々はPQCrypto2018において、新たな暗号方式HFERPを提案した。これは、暗号方式HFEに署名方式Rainbowを加えることで構成される。本講演では、その構成について説明し、HFEとの実装性能の比較実験を紹介したい。これは、R. Perlner, D. Smith-Tone, T. Takagi, J. Vates との共同研究である。 - 大畑 幸矢(産業技術総合研究所)
「機械学習とセキュリティ」
機械学習は従来からセキュリティ研究においてツールとして頻繁に用いられてきたが、近年では機械学習そのものを対象にしたセキュリティやプライバシに関する研究が活発に行われている。本講演ではそのようなセキュリティと機械学習の融合分野に関する最近の研究動向のうち、従来とは異なる潮流の研究事例を中心に紹介する。
共催等
共催
世話人(五十音順)
- 阿部 拓郎(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所)
- 鍛冶 静雄(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所)
- 栗原 大武(北九州工業高等専門学校)
- 縫田 光司(東京大学)
- 沼田 泰英(信州大学)
- 前野 俊昭(名城大学)